Nature ハイライト 聴覚:脳細胞はピッチに調子を合わせる 2005年8月25日 Nature 436, 7054 我々の脳は、振動数の異なる2つの音(例えば、中央のドと高いド)が同じピッチを共有することを認識できる。つまりピッチの知覚は、音響入力が大きく変化しても一定に保たれるのである。この不変性は音楽の鑑賞や、何よりも話し言葉を認識するのに重要なのだが、脳がどのようにしてピッチを知覚するのかはわかっていない。今週号でD BendorとX Wangは、聴覚皮質にあるニューロンが、ピッチ知覚の神経基盤となる活動に関与している可能性を報告している。 彼らは、マーモセットモンキーの脳にはピッチ選択的ニューロンがあり、これが同じ基本振動数を共有する異なった音に応答することを発見した。また、この同じニューロンが、実際には基本振動数の音を含まないのにそれを示唆する複合音にも応答することも明らかにした。またニューロンが、たとえ音刺激が通常そのニューロンを興奮させる領域にない場合でも、ミッシングファンダメンタルにあたる振動数に反応することも実験で証明された。 「これらの特徴は、心理学者に喜ばれそうだ。仕組みの解明とはいかないまでも、知覚の不変性の証拠にはなるからだ」とR ZatorreがNews and Viewsで述べている。 2005年8月25日号の Nature ハイライト 聴覚:脳細胞はピッチに調子を合わせる 生態:多様な細菌種の「コラボ」が役に立つ 地球:ヘリウム3はすべてが失われたのではない 宇宙:地球に降る宇宙塵の起源 進化:筋タンパク質の進化史 : 目次へ戻る