2016年10月号Volume 13 Number 10

忘れられた大陸

「現生人類はアフリカで誕生した」というのが現在の定説だが、人類発祥の地はアジアだと考えられていた時期があった。そのきっかけとなった北京原人はその後ホモ・エレクトスの亜種とされ、また、アフリカでさらに古い人類化石が出土したことで、研究の中心はアフリカ・欧州へと移って行った。しかし、中国で近年、定説と合わない化石が相次いで見つかった。2015年には、6万年前に世界に広がり始めたとされるホモ・サピエンスが、10万年前にすでに中国にいたことが示唆された。研究者たちは今、人類進化の謎を解くカギはアジアにあると考えている。

Editorial

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News

ヒト・コネクトーム・プロジェクトのデータから、ヒト大脳皮質が、構造、機能、神経接続性などの違いによって180の区画に分けられた。このうちの97の領域は、これまで記述されたことのなかったものだ。

ヒトの鼻腔に棲む共生細菌が、有害な薬剤耐性菌を死滅させる新規抗生物質を産生していた!この抗生物質は、MRSA感染との闘いにおいて、新戦力になる可能性がある。

地球外生命体の存在を示す化学的痕跡とは何か。宇宙生物学の研究者たちが検討を始めている。​

遺伝学研究から、南アフリカでのエイズ流行が、いわゆる援助交際で助長されていることが明らかになった。

ドイツでは風力発電と太陽光発電の発電量が急速に増加しているが、これらの電源は不安定だ。電力の安定供給のため、ドイツは再生可能エネルギー発電量の予測システムの研究を進めている。

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News Features

中国で発見された化石人骨が、現生人類とその近縁種の進化をめぐる通説に挑戦状を叩きつける。

創薬コストの高騰を受け、既存の承認薬や開発が途中で中止になった化合物を対象に、新たな適応疾患を探し出して製品化する「ドラッグ・リポジショニング」と呼ばれる取り組みが盛んになっている。

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Japanese Author

京都大学名誉教授の早石修(はやいし・おさむ)博士が、2015年12月17日、逝去された。享年95歳。米国で研究生活を送った1950年代、酸素添加酵素を発見し、生化学の定説を覆す新たな概念を打ち立てた。帰国後、京都大学や大阪バイオサイエンス研究所でさらに研究を進めるとともに、多くの弟子たちに科学の真髄をとことん教授した。今回お集まりいただいたのも、師を偲ぶ4人の弟子である。

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News & Views

Ki-67タンパク質は、分裂中の細胞で増えることが知られているが、有糸細胞分裂での役割はこれまでよく分かっていなかった。今回、詳細な画像化により、細胞分裂の際に染色体がひと塊にならないのは、Ki-67が染色体の表面を覆っているためであることが明らかになった。

超低温の二原子分子が光を吸収して2個の原子に分裂する光解離反応で、驚くべき量子効果が初めて観測された。この研究は、量子光学の新たな研究の道を開く。

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News Scan

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