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2018年2月号Volume 15 Number 2
ヒト遺伝子のヒット・ランキング
「会話のきっかけとして使える遺伝子は何だろう?」。あるバイオインフォマティシャンが好奇心から、生物医学文献データベースPubMedを調べ、ヒト遺伝子2万7000個のうち「最もよく研究されている遺伝子」のランキングを作ってみたところ、分子生物学の黎明期からの変遷や注目される遺伝子の特徴が浮かび上がってきた。PubMedには、生物の遺伝子に関する論文が120万本以上が登録されている。
Editorial
News
デンキウナギに着想を得た柔らかい電源
塩水で動作する柔軟で透明な電源が開発された。将来、人工臓器の駆動に使えるかもしれない。
イッカクの特異な恐怖反応
イッカクが、人間から逃れる際に「すくみ逃走」という生理学的に矛盾する反応を示すことが明らかになった。これは、北極海での人間活動がイッカクの命を脅かしかねないことを示唆している。
細胞が人工塩基を使ってタンパク質を作った!
生物が遺伝情報をコードするのに用いるアルファベットに新たな文字が追加され、新規タンパク質薬が生産される道が開かれた。
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論文中の塩基配列の誤りを探し出すツール
研究論文を精査して塩基配列の誤りを発見するオンラインソフトウエアが開発された。このプログラムを使って60編以上の論文で不適切な塩基配列が発見されたが、そのほとんどはがんに関する論文だった。
中国が中国伝統医学の規制を緩和
中国伝統医学で用いられる薬について、臨床試験なしで承認する計画を表明した中国政府に対し、科学者たちは、人々を危険にさらす恐れがあると危惧している。
気分障害を脳内埋込み装置で治療する臨床試験
DARPAから資金提供を受けている研究チームが、気分障害やPTSDの患者を脳内埋込み装置を使って治療する試験を始めている。この装置はAIで制御され、神経活動を記録して、自動的に脳を刺激する。
色で身を隠していた羽毛恐竜
羽毛恐竜シノサウロプテリクスの特徴的な体色パターンが明らかになり、この小型獣脚類が開けた環境に生息していたことが示唆された。
先端技術研究開発に活路を探る英国
英国政府がハイテク産業の研究開発に多額の資金を投入する長期戦略を発表した。
米国のポスドクの給料格差
米国のポスドク研究者の給料に関する調査から、公立大学の一部のポスドクがファストフード店の店員並みの給料で働いているのに対して、年額1000万円以上の給料を得ているポスドクもいることが明らかになった。
TOOLBOX: 大学シラバスからデータを掘り出すツール
オープン・シラバス・プロジェクトの創設者は、大学シラバスのデータを共有することで、大学教育をより良いものにすると同時に、教員にも恩恵をもたらすことができると考えている。
News Features
とっておき年間画像特集2017
2017年の夏に米国本土を横断した皆既日食は、ニュースでも大きく取り上げられ、科学者も一般の人々もこの天文ショーを大いに楽しみました。その他にも、宇宙飛行の革新的進展や太古の動物種の不思議な姿など、Natureが厳選した科学や自然界の印象的な画像を紹介します。
ヒト遺伝子のヒット・ランキング
生物学で最もよく研究された遺伝子はどれだろうか。それを探り出す取り組みから、意外なことがいくつか明らかになった。
Japanese Author
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後肢発生研究で見えてきた、胴の長さの進化
地球上には、さまざまな胴の長さの脊椎動物がいる。最も短いものの代表例はカエルで、背骨の数は8つほど。最長はニシキヘビ(ヘビ亜目)などで、背骨は200以上あるという。名古屋大学大学院理学研究科の鈴木孝幸講師、黒岩厚教授らは、長年、後ろ足がいつ、どこに、どのような遺伝子の働きで作られるかを調べてきた。このほど、後ろ足を含む体の後方部分の構造を作る場所が、ただ1つの遺伝子で決定されることを突き止め、この遺伝子の発現タイミングが、後ろ足の位置、つまり胴の長さの多様性を生み出していることを見いだした。
News & Views
よみがえる謎の超新星
当初はありふれた超新星爆発のように見えた事象が、その発見後600日以上も輝き続けた。この事象の特性は、現在の標準的な理論モデルでは説明できない。
トランスジェニック幹細胞で皮膚を再建
不治の遺伝性皮膚疾患の患者に対し、遺伝子操作した幹細胞を用いた治療が実施された。その結果から、こうした細胞で皮膚をほぼ全て置き換える方法の有効性、実行可能性、安全性が実証された。
T細胞は腫瘍細胞をどのように見つけ出すのか
免疫療法は、T細胞を再活性化して、腫瘍細胞を破壊する。このほど、腫瘍とT細胞の相互作用をモデル化することにより、特定の腫瘍細胞がT細胞の標的になる理由が示唆され、免疫療法の転帰の予測が改善された。
News Scan
古代木の年輪
古生代の樹木クラドキシロンは非常にユニークな成長をしていた。
グルテンなしの小麦?
アレルギーの人に安全な品種をゲノム編集で作出する試み。
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