2018年8月号Volume 15 Number 8

気付いてないのはPIだけ?

科学の公正性に対する懸念の高まりから、研究者を不正行為へと駆り立てる要因について各国で研究が進められている。Natureも、研究室の文化がその健全性にどう影響しているかを独自に調査し、その結果、研究室の主宰者(PI)と他のメンバーとの認識の隔たりや、PIの指導力に対する不満が見えてきた。多くのPIが、管理や指導などのリーダーシップに関する訓練を受けないままその地位に就くからだ。

Editorial

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News

移民や難民の受け入れは国の経済と財政の重荷になるとみなされることが多いが、西ヨーロッパ15カ国の30年間の統計データを計量経済学の数学的モデルを使って分析したところ、この従来の見方に反する結果が得られた。

ヒトやイルカのように「ゼロ」の概念を理解できることが判明している動物はごく少数だが、意外にもそこに昆虫が仲間入りした。

謎に満ちた火星のコアの詳細を解明すべく、惑星の「鼓動」を聞き取る聴診器を搭載したNASAの探査機が火星に向かって飛行中だ。

ラボの在庫管理システムは、紙ベースのものから特注データベースまで、さまざまだ。最適なシステムを利用すれば、時間と費用とイライラを最小限に抑えることができる。

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News Features

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3200人の科学者を対象とする調査から、研究室の主宰者(PI)からのプレッシャーやPIの指導力に対する不満により、世界中の若手研究者がストレスをためていることが明らかになった。

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Japanese Author

脳機能を支える神経回路は、神経細胞同士がシナプスというつなぎ目を介して複雑につながることで作られる。脳の情報や指令は、神経細胞内においては電気的に伝達されるが、シナプスでは神経伝達物質を内包した小胞を介して化学的に伝達される。しかし、伝達の強度を左右する小胞放出の場の数や、場の形成過程などは不明であった。このほど、廣瀬謙造・東京大学大学院医学系研究科教授らは、独自に開発した高感度のイメージング技術に分子の超解像可視化技術を組み合わせることで、場の形成に関わる分子実体の解明に成功した。

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News & Views

大幅に再設計された酵母ゲノムは、オンデマンドで大規模に再配列できるよう構築されている。今回、このゲノムシャッフリング系の汎用性ならびに生物工学用途への応用の可能性を示した一連の研究が報告された。

クロロフルオロカーボン(フロン)は、成層圏オゾン層を破壊した主要な化学物質であり、こうした化合物の使用を制限する国際規則がある。それにもかかわらず、排出量が再び増加していることが、観測によって明らかになった。

鳥類が、祖先である恐竜の特徴を捨てて現在の特徴を進化させていた時代の、歯を持つ絶滅鳥類イクチオルニス。今回、この象徴的な化石鳥類の頭蓋が三次元でほぼ完全に復元され、恐竜から鳥類への移行の状況が明らかになった。

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News Scan

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