2019年12月号Volume 16 Number 12
日本の再生医療がもたらすもの
2014年、日本は再生医療の規制緩和へと大きく舵を切った。再生医療が迅速に市場に出る筋道をつける2つの法律(再生医療等安全性確保法、医薬品医療機器等法)が成立したのだ。これにより、希望者は幹細胞を使った治療を受けられるようになり、この政策は国際的な広がりをも見せている。だが、迅速な認定や承認と引き換えに、患者が代償を払う羽目になる危険性もはらんでいる。
Editorial
News in Japan
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欧州の生命科学研究と地続きに
EMBOが、欧州以外の地域の若手研究者を応援する新しいプログラムを創設した。日本の研究者も利用可能なのだろうか。2019年10月、京都で開催されたSTSフォーラムのために来日したEMBOディレクター、マリア・レプチン氏に話を聞いた。
News
試験管内の「原始スープ」からRNA塩基を合成
地球上に現れた最初の生命体はRNAを主要成分としていたとする仮説を補強する化学的な証拠が得られた。
細胞が酸素濃度を感知し応答する仕組みの解明にノーベル医学・生理学賞
受賞者3氏の発見は、貧血やがんなどの疾患解明の基盤となるものだ。
ノーベル物理学賞は系外惑星観測のパイオニアに
2019年のノーベル物理学賞は、太陽に似た恒星の周りを公転する系外惑星を発見した2人の天文学者と、宇宙の進化を記述する理論を構築した宇宙論研究者に授与される。
世界を変えた電池にノーベル化学賞
充電式リチウムイオン電池の開発に貢献した3氏にノーベル化学賞が贈られることが決まった。
北極地方の異常な夏に海氷の融解が駄目押し
激しい山火事からグリーンランドの氷床の融解まで、北極地方は悲鳴を上げている。
カンブリア爆発より古い動物の這い跡
動物は「カンブリア爆発」で急激に多様化したとする説に、先カンブリア時代の動物の化石が疑問を投げ掛けた。
薬剤で生物学的時計が巻き戻った?
ヒトの生物学的年齢を刻むエピジェネティックな時計は、3種の薬剤の併用によって巻き戻せることが、小規模臨床試験で示された。
高速電波バーストの反復型の発見例増える
謎の天体現象、高速電波バーストのリピーター(反復型)を新たに8個発見したことが報告された。バーストの発生源の解明に天文学者たちは一歩近づいた。
News Feature
日本の再生医療政策がもたらすもの
日本は再生医療の規制緩和へと大きく舵を切った。この政策は国際的な広がりを見せているが、世界中の患者が代償を払う羽目になる危険性もはらんでいる。
Comment
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科学と政治の150年
Nature 創刊からの150年間に研究システムがどのように形作られてきたかを振り返るエッセーシリーズの第一弾として、政府による科学支援のルーツをたどる。
News & Views
オンラインヘイトの力学
ソーシャルメディアプラットフォームにおけるオンライン上のヘイトグループの力学の分析から、ヘイトスピーチを禁止する現行のアプローチではうまくいかない理由が明らかになり、オンラインヘイト撲滅に有効な可能性のある4つの戦略の基礎が示された。
小地震も大地震も始まりは似ている
小さな地震と大きな地震の始まりは、よく似ているのか、あるいは異なっているのか、という問題は、地震学の長年の課題だ。日本周辺の地震を分析した結果、一部のケースでは、小さな地震と大きな地震の始まりはほぼ同一であることが分かった。
フッ素とアミド基の連続導入に成功
これまで合成が不可能だった、フッ素原子とアミド基を近接して持つ化合物群の実用的な合成法が考案された。この反応は、創薬分野で大いに役立つ可能性がある。
News Scan
先延ばしを防ぐ支援ツール
課題ごとにご褒美ポイントでやる気引き出す。
羽根の罠
落とし穴で虫を捕まえるアリ。
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