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2019年2月号Volume 16 Number 2
生命を1から組み立てる
細胞をボトムアップ式に作り上げる過程で生命と非生命の境界が見えてくるに違いない――人工細胞、つまり外部と自身を区画化する膜を持ち、増殖し、進化する系を作ろうという試みは、20年以上前に始まった。この分野はマイクロ流体技術の進歩で急速に発展していて、細胞様の物体を作ることや、簡単な人工の代謝系を構築することにも成功している。
Editorial
News
信憑性が増す「伝播性」アルツハイマー病説
マウスの実験で、脳変性疾患に関連する粘着性タンパク質が伝達される可能性があるという確証が得られた。しかし、ヒトでのリスクは恐らく極めて低いだろうと研究者は言う。
大規模ヒト脳ゲノム解析から神経疾患の手掛かり
千人以上の死後脳組織のゲノム解析により、統合失調症や双極性障害などの発症機序に関する興味深い手掛かりが得られた。
AIによる査読に集まる期待
AIによる査読は査読者の負担軽減に役立つが、最終的な判断を行うのは、やはり人間だ。
謎の超新星様天体Cowが出現
超新星に似ているものの、特異な特徴を持つ天体が出現し、多くの天文学者が注目している。その正体についてさまざまな仮説が提出されているが、結論は出ていない。
TOOLBOX: 旅する科学者のためのサイバーセキュリティー
旅行中の研究者が大切なデータを紛失や盗難から守るにはどうすればいいだろう?
News Features
とっておき年間画像特集2018
2018年は、米国カリフォルニア州の史上最悪の山火事から南アフリカ・ケープタウンの大干ばつまで、焼け付くような出来事が重なった年として歴史に残ることでしょう。クローン技術や画像化技術に進展が見られた一方、地球上で最も希少な生物種は脆弱であることを改めて思い知らされた年でもありました。この特集では、Nature が厳選した科学や自然界に関連する印象的な画像を紹介します。
生命を1から組み立てる
ボトムアップ式に作成された合成細胞から生命と非生命の境界が見えてくる可能性がある。
Comment
追悼・下村脩博士
生物発光に光を当てた化学者。
Japanese Author
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サメのゲノムが挑む、進化と自然の謎
軟骨魚類板鰓(ばんさい)類のサメ類は、その名の通り、硬い骨を持たない。ヒトの属する硬骨脊椎動物の祖先とは、4億5000万年前に分岐した。日本近海には、映画で有名なホホジロザメ、巨大なジンベエザメ、ダイバーに人気のシュモクザメをはじめ、約150種が生息している。このほど、理化学研究所生命機能科学研究センター分子配列比較解析ユニットの工樂樹洋ユニットリーダーらを中心とする、沖縄美ら海水族館、海遊館、大阪市立大学、東京大学の共同研究チームが、ジンベエザメ、トラザメ、イヌザメの全ゲノムを解析し、脊椎動物の進化やサメの生態についてさまざまな知見を得た。成果は、Nature Ecology & Evolution 11月号に発表された。
News & Views
ヒト妊娠初期の全体像
妊娠初期の母体と胎児の界面に存在する数万個の単一細胞のRNA塩基配列解読から、生殖を支える細胞種と調節ネットワークの驚くべき複雑性が明らかにされた。
イオン風で飛ぶ飛行機を実現
飛行機は通常、プロペラやタービンを用い、化石燃料の燃焼で動力を得る。今回、燃焼と可動部分なしに、電力とイオンの運動による風で飛ぶ飛行機が実現した。
細菌の敵はヒトの味方ではない
黄色ブドウ球菌はヒトの難治性感染症の大きな原因となっている。この細菌は、ファージ(細菌を宿主とするウイルス)に感染すると、ファージの酵素のおかげで免疫系による検知を回避できることが明らかになった。
News Scan
長距離走者の秘密
ある遺伝子変異が走行能力に寄与したようだ。
氷のノクターン
ヒマラヤ氷河は夜間に割れ、融解を加速するらしい。
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