2021年3月号Volume 18 Number 3
水のパラドックスと生命の起源
水は生命にとって不可欠な物質だが、生命の基礎となるタンパク質や核酸などの高分子を分解してしまう。地球で最初に生まれた細胞は、危険だが不可欠なこの物質に、どのように対処したのだろう? 人類はこの問いの答えを見つけようと、地球の表面や海底のみならず他の惑星にも赴き、探査を始めている。
Editorial
Publishing Academy
学術界サバイバル術入門 — 査読をする③:査読レポートを書く(前編)
ここまで、査読依頼が来たらどうするか、査読をどのように行うかについてお話ししました。今回は、編集者と著者に伝わる査読レポートの書き方について前編・後編に分けて詳しくお話しします。
News in Japan
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2021年日本国際賞は、がん化の本質を暴いた2氏とシリコン太陽光発電の先駆者に
国際科学技術財団は2021年1月29日、ジャパンプライズ(日本国際賞)の受賞者を発表した。今年の対象分野は「物理、化学、情報、工学」領域では「資源、エネルギー、環境、社会基盤」分野、「生命、農学、医学」領域では「医学、薬学」分野。
News in Focus
生物時計を逆回しして老齢マウスの視力を回復
加齢によるエピジェネティックな変化を操作して加齢関連の衰退を逆行させるという、新しいアプローチが示唆された。
火星の内部を地震波で初探査
NASAの火星探査機インサイトが、地球以外の惑星の内部構造を初めて地震波で調べた。
Nature およびNature リサーチ誌も、全著者向けOAオプションを提供
論文を即時OA出版するための論文掲載料(APC)は9500ユーロ(約120万円)に決まった。
2021年注目の科学イベント
地球温暖化対策、COVID-19ワクチン、オープンアクセス運動など、2021年の科学界の注目すべき話題をまとめた。
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新型コロナウイルス研究注目の論文(2月)
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)とその感染症(COVID-19)に関する文献で重要なものをNature が精査し、まとめた(2021年2月)。1月分はこちら。
Features
水のパラドックスと生命の起源
水は、生命にとって欠かすことのできない物質である半面、DNAやその他の重要な分子を分解してしまう。地球で最初に生まれた細胞は、危険だが不可欠なこの物質に、どのように対処していたのだろうか?
Japanese Author
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騒音や人工光による感覚汚染の影響を市民科学者データを活用して解明
騒音や人工光は野生生物の生息に、どのような影響を与えているのだろうか。生物多様性の保全を考えていく上で、それを知ることは極めて重要である。市民科学者によって収集された全米レベルの大規模な観察データを利用し、鳥の繁殖活動に及ぼす音や光の影響が解明されつつある。研究を主導した先崎理之・北海道大学大学院助教に話を聞いた。
News & Views
翼竜類の進化的起源を示す近縁動物
恐竜類に近縁な既知最古の飛行性脊椎動物として知られる翼竜類だが、その進化的起源は2世紀にわたり謎に包まれてきた。今回、一連の化石標本の詳細な解析から、この謎に対する1つの答えが導き出された。
高解像度3D印刷をわずか数秒で
優れた特徴解像度と体積生成速度で3D固体物体を印刷できる、新たなボリューメトリック印刷技術が開発された。この方法は、2種類の光ビームを交差させることで生じる化学反応を利用している。
血液の化学組成予想図
ヒトの血液の化学組成を決定しているものは何なのか? 遺伝学的性質から生活様式まで、さまざまな要因の関与が評価され、食物と腸内微生物が血液の化学組成を予測する重要な要因となることが明らかになった。
多様な群集中で、数百種の微生物を 識別し、空間位置を特定
顕微鏡を用いて微生物のタイプごとに空間分布パターンを明らかにすることは、同時に多くのさまざまな種が観察されてしまうために限界があった。今回、新たな手法によって、この分野の研究が進展した。
News Scan
熱で見るヘビの“目”
「ピット器官」の信号変換の仕組み。