2025年3月号Volume 22 Number 3
汎用人工知能は実現可能なのか
オープンAI 社のo1 のような大規模言語モデルは、汎用人工知能の実現を巡る議論に衝撃を与えたが、大規模言語モデル単体でこのマイルストーンに到達することは難しそうである。
Editorial
Research Highlights
リサーチハイライト
「大量生産品のボウルが語る国家の興亡」「徐々に質量を失う赤ちゃん惑星」「南極大陸で初の琥珀発見」「知的に謙虚な科学者は信頼される、他。
News in Focus
グーグル社の量子チップがエラー率の指数関数的な低減を達成
量子コンピューターのためのエラー率の低い量子チップが開発され、1個の量子ビットを多数の量子ビットで構成するとその精度が明確に上がることが実験的に確かめられた。
学術界のAI研究のネックは強力なチップへのアクセス不足
学術界と産業界の研究者の間では計算能力へのアクセスに格差があることが、調査によって浮き彫りになった。
ディープマインド社の気象予報AIが世界最高水準のシステムを凌駕
新しい人工知能モデル「GenCast」は15日先の気象現象を予測し、その正確性の確率を示す。
「AIサイエンティスト」の支援で急速に進化する仮想研究室
人間とAIの協働は学際研究の未来となり得るか?
ChatGPT登場から2年:科学者の生活はどう変わったか
AIツールを利用している研究者はどのくらいいるのだろうか? Natureはデータを収集し、学術研究者に話を聞いた。
生成AIの訓練用に学術出版社が論文を販売
生成大規模言語モデルは膨大な量のデータを必要とする。そのデータは学術出版社からも提供されている。
糞便と嘔吐物の化石でひもとく恐竜繁栄への道のり
約2億年前の消化物の化石を分析することで、恐竜がどのようにして地球を支配するに至ったかが明らかになった。
反物質をトラックで実験室外に輸送しようとする試み
この揮発性物質は、トラックでCERN構内のさまざまな施設に運ばれ、科学者らによって多くの研究の機会が提供される可能性がある。
熱ストレス後に人体の老化「時計」が早まる
予備的研究により、長期にわたる暑さへの曝露と加齢の分子マーカーに関連があることが示唆された。
留学生の人数制限に頭を抱える大学
英国、カナダ、オーストラリアにおける学生向けの入国管理規制が、研究に悪影響を与えている。
Features
AIの知的レベルはどこまで人間に近づいたのか?
オープンAI社のo1のような大規模言語モデルは、汎用人工知能の実現を巡る議論に衝撃を与えたが、大規模言語モデル単体でこのマイルストーンに到達することは考えにくい。
幹細胞治療の時代がやって来た!
がん、1型糖尿病、パーキンソン病などの治療を目指して、これまで以上に多くの幹細胞治療の臨床試験が行われている。
Japanese Author
Free access
チームワークで切り拓いたCOVID-19研究
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック初期に次々と画期的な論文を発表した、東京大学医科学研究所の佐藤佳教授。この発表を支えた研究チーム「G2P-Japan」はいかに世界をリードし、社会の疑問に応え続けたのか。論文量産、チームワークなどの研究哲学とは。そして、今後は何を目指すのだろうか。
News & Views
遺伝子発現の変化が光合成を進化させた
近縁の植物を比較することで、効率の高い光合成方式の進化を可能にした、遺伝子発現の切り替えの原理が明らかにされた。これは、生産性に優れた作物の開発に資する研究成果だ。
移植幹細胞の運命は疾患に依存する
遺伝子編集された幹細胞から生じた細胞の経時的な追跡により、こうした細胞が疾患特異的なニーズに合致した細胞系譜へ拘束されることが明らかになった。
Advances
キノコロボット
真菌センサーがロボットを誘導する。
天からのたまもの「カルーセルレンズ」
偶然が重なって生じた重力レンズがはるか遠くの宇宙を見せてくれる。
Where I Work
Ioannis Binietoglou
Ioannis Binietoglouは、クリーンエア・タスクフォースのリモートセンシング政策マネジャー(ギリシャ・アテネ在住)。
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