2007年8月号Volume 4 Number 8
Editorial
News
首位交代:1990〜2006年のCO2排出量
オランダ環境アセスメント局が6月下旬に出した予備報告によると、中国は化石燃料の燃焼とセメントの製造のため、米国を抜いて世界一の二酸化炭素排出国となった(現在、世界の新しいセメントの44パーセントは中国で製造されている)。そこで、CO2排出量が世界最大級の国々、もしくは経済圏の比較を見てみよう。
News Features
慈善財団からの研究助成金の現状
裕福な慈善家や民間財団が生物医学研究に大規模な助成をするようになってきた。こうした助成金には、公的機関からの助成金にはない柔軟性がある反面、それゆえの新しい問題も生じてきている。Meredith Wadman記者がその実態を報告する。
世界の主な慈善財団
慈善家や民間財団が生物医学研究に提供する資金はますます増えている。資金力と影響力が大きい財団の一部をLucy Odling-Smee記者が紹介する。
環境にやさしいF1
環境にやさしい自動車レースは可能だろうか? フォーミュラ1(F1)を主催する国際自動車連盟(FIA)のMax Mosley会長は、一般車にも使えるエネルギー効率のよい技術の開発を支援していきたいと考えている。この取り組みをどのようにして進めていくのか。Andreas Trabesinger記者が取材した。
Author
月面で赤外線望遠鏡を製作する方法
水銀など光沢のある液体を回転させて望遠鏡の鏡にするという方法は、1850年にイタリア人天文学者Ernesto Capocciにより提案された。このアイデアが最初に試されたのは1900年代のことだったが、技術的な問題が多すぎたため、夢見がちな天文学者の歴史のひとこまとして長らく忘れ去られることになった。
Japanese Author
原子間力顕微鏡で半導体表面の原子を観察、元素を同定することに成功 (森田 清三)
半導体デバイス上では複数の元素が混在しており、さらなる機能アップのためには、ドーパントとなる不純物元素の同定や原子位置の制御が課題となっている。大阪大学大学院工学研究科の森田清三教授らのグループは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて元素を同定する方法を開発、原子の制御によるボトムアップのナノテクノロジーへの道を開いた(Nature 2007年3月1日号で発表)。AFMによる原子の識別と移動の分野で、世界のトップを走る森田教授に今回の成果について聞いた。
光が当たると伸び縮みするフォトクロミック結晶の開発に世界で初めて成功 (入江 正浩)
光を当てると色が変わることで知られるフォトクロミック分子。今回、立教大学理学部の入江正浩教授らの研究チームは、光の照射によって色の変化だけでなく、伸び縮みしたり、曲がったりするフォトクロミック単結晶を世界で初めて開発した。ナノサイズで物を動かすアクチュエーターとしての応用が期待されるこの成果は、Nature 2007年4月12日号で発表された。入江教授に開発の経緯やその意義、今後の展望などについて話を聞いた。
News & Views
化石の森
かれこれ3億年以上も前に、地震のせいで1つの森が海面下に沈み、たちまち埋もれてしまった。短時間のうちに起こったこの出来事のおかげで、大昔に失われた生態系の姿を広大な空間スケールでとらえることができる。
英語でNature
プラスチック作品を後世に残す
映画やアニメのキャラクターのフィギュアを好んで収集する人は、かなりの数に上ると思われます。堂々と自分が「オタク」だと公言する人もいれば、こっそりと部屋に数え切れないほどのフィギュアを大切に陳列している人もいることでしょう。 しかし、多くのフィギュアが長持ちするプラスチック製だとはいっても、新しいままの状態を半永久的に保てるわけではありません。プラスチック作品を展示している博物館でも、近年、展示品の劣化が始まっているようです。劣化を防ぐにはどのような対策をとればいいのか、読んでみましょう。
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