2008年7月号Volume 5 Number 7
Editorial
News Feature
実績と真実と責任と
著名な研究者と大学院生、そして重要論文2報の撤回。化学界を揺るがせた1つの事件をErika Check Haydenが報告する。
Japanese Author
貪食細胞がアポトーシス細胞を取り込んで消化するようすを画像化(松田 道行)
死んだ細胞やがん細胞などを飲み込んで掃除する貪食細胞(マクロファージ)の貪食作用については、関与する分子が明らかになりつつあるが、まだ謎が多い。京都大学大学院生命科学研究科の松田道行教授らのグループは、蛍光イメージングの手法によって、Rab5という細胞にあるタンパク質が貪食作用のかぎとなることを明らかにした。Nature 2008年5月8日号に掲載された、この研究の内容と意義を松田道行教授に聞いた。
News & Views
温室に窓を開ける
南極の氷床コアから苦労して取り出されたデータは、地球の過去80万年分の気温と大気中の二酸化炭素およびメタンの濃度につき、これまでにない展望をもたらす。
お隣さんの陰で
植物は日陰から逃れることができないため、分子的解決法に頼って日の当たる場所を探す。その行動は極めて過激であり、自らの発生の再プログラム化が伴う。
Correspondence
「危険な想定」への読者の意見
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が提案している二酸化炭素の基準排出シナリオについてのR. Pielke Jr, T. Wigley and C. GreenによるCommentary「危険な想定(Dangerous assumptions)」(Nature 452, 531-532; 2008)に対して、読者からたくさんの意見が編集部に寄せられました。それらの中から5つを紹介します。「危険な想定」の要約を用意しましたので、まずはそれから読むとわかりやすいでしょう。
Essay
コペンハーゲンからの霧を晴らす
量子論にかかる悪名高い霧の一部は、波動関数を唯一のものと考えることで解決できる。
Japan News Feature
「細胞を創る」ことで生命を知る
生命とは何かを探究する新しい研究会が日本に誕生した–「『細胞を創る』研究会」である。分子生物学やゲノム科学に端を発したその活動は、「つくる」をキーワードにさまざまな専門分野に広がり、社会科学や文化芸術にまで範囲を拡大しようとしている。「つくる」という方法が、人々を引きつけているのだ。それはなぜ? そして、それによってどのような研究の進展が期待できるのだろうか?
News
大人になってからでは脂肪細胞の数は減らない
たとえ体重が激減しても、体にある脂肪細胞の総数が減るわけではない。
炭は環境にやさしくない?
炭を炭素シンクとして利用するという考えは楽観的すぎるかもしれない。
英語でNature
ありふれたウイルスを根絶して脳腫瘍をやっつける
頭痛や吐き気から、すぐに脳の病気を疑えますか? 今回は、早期発見がむずかしく、極めて悪性な脳腫瘍の新しい治療法の研究について読んでみましょう。
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