2008年9月号Volume 5 Number 9
Editorial
News Features
中国の展望
中国政府は、宇宙開発や環境問題、科学研究、エネルギー問題、保健衛生について掲げている野心的な目標を実現することができるのだろうか? 中国の現状と目標について、David Cyranoskiが報告する。
ヒトであること
医師のAjit Varkiは、ある1つの分子のちょっとした違いを見つけたことから、ヒトと類人猿を隔てるものについて疑問をもつようになった。微細レベルの現象から人類進化の全体像をとらえようとするこの人物に、Bruce Liebermanが取材した。
Comment
定年退職制度を引退させよ
すでに米国とオーストラリアでは廃止されている「定年退職」という古めかしい制度。今こそ、この制度を世界中で終わらせるときだとPeter Lawrenceが提案する。
Japanese Author
線虫の学習異常とアルツハイマー病の関連タンパク質が結びついた!(飯野 雄一)
線虫は、土壌中の化学物質や匂いの存在、温度、酸素濃度といった情報を統合して記憶することで、餌のありかや危険物の存在を探し当てる。学習の研究分野では、線虫のこうした行動を用いた解析が盛んに行われているが、東京大学大学院理学系研究科の飯野雄一教授は、先天的に正常な学習ができない線虫の変異体を解析することで、意外な遺伝子の異常を突き止めた。
News & Views
ヘビの分節時計は速く進む
長くて美しいヘビの体には、背骨を作る椎骨が数百個ある。この極端な形態は、体のパターン形成を調節している発生の「時計」に、進化の途上で変化が起こったことに由来する。
ボイジャー2号が乗り越えた衝撃
ボイジャー1号に続いて、ボイジャー2号探査機が末端衝撃波面を通過した。超音速の太陽風は、ここで急激に減速し、しだいに星間空間からの影響を受けるようになっていく。ここから、太陽系探査の新時代が始まるのだ。
戸塚洋二 氏(1942-2008)
スーパーカミオカンデ共同観測グループを率いてニュートリノ振動を発見。
News
睡眠不足は偽りの記憶を生み出す
それでもカフェインが正確な記憶の呼び出しに役立ってくれる。
太陽光の取り入れを助ける有機色素
研究者たちは、安価な集光器を利用して太陽光発電のコストを大幅に下げることができると主張している。
Snapshot
地球を色分けする
大西洋の中央海嶺、南北アメリカ大陸の西側に連なるアンデス山脈とロッキー山脈、アジアのヒマラヤ山脈、アフリカのグレートリフトバレー。史上初の全地球デジタル地質図では、こうした地形のすべてを見ることができる。
英語でNature
フェニックス探査機が火星の氷を初めて味わう
今回は、地球以外の天体では初めて、火星で水の存在が確認されたことを報じたニュース記事を取り上げます。採取した土壌サンプルを高温で加熱する過程が、焼き物にたとえて書かれています。右ページの解説を参考にしながら読んでみましょう。
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