2009年9月号Volume 6 Number 9
Editorials
アポロ計画とUNIX
人類初の月面着陸はまさに世界を変えた。時を同じくして、世界を変える出来事がもう1つ起きていた。
News Features
ブログは学会・国際会議の敵か?
近年、ブログやミニブログを利用して学会の会場内の様子を外部に詳細に報告する参加者が散見されるようになった。こうした技術は、出席していない研究者でもその学会に積極的に関与することを可能にする一方で、発表者の意図に反して未発表データを全世界に流してしまう危険性もある。
読み書きからナノファブリケーションまで
2009年4月に開校した新設高等学校、横浜市立サイエンスフロンティア高等学校には、電子顕微鏡やDNA シーケンサーから天体観測ドームまで備わっている。これほど科学設備の整った高校はほかに類がない。ここから未来の科学者が巣立っていくことが期待される。David Cyranoski が取材報告する。
再定義されるケルビン
計測学者たちは今、温度の単位の再定義に取り組んでいる。これにより、氷点の定義は、これまでとは違ったものになろうとしている。Nicola Jones が報告する。
Japanese Author
葛藤する脳の仕組みを調べる (糸原 重美)
私たちは、日々、多くの葛藤や迷いに振り回されている。一応の理由をつけて何らかの行動に出るが、それは脳のどのような制御機構によるものなのか。理研脳科学研究センターの糸原重美チームリーダーらは、マウスの実験によって、あるタイプの葛藤の処理に「X11L」というタンパク質が関与していることを突き止めた。
News & Views
砂の流れに現れる断続パターン
砂などの粒状の物質をさらさらと自由落下させると、その連続的な流れはやがて、断続的な複数のクラスター(固まり)へと分裂していく。高価な高速度ビデオカメラを数メートルの高さから落下させるという“独創的” な実験により、どうしてこのようなことが起こるのかが明らかになった。
楕円銀河の解剖学
楕円銀河の仲間は、一定のルールに従った規則正しい構造をしている。この規則正しさの中に見られる「不規則性」を調べることによって、楕円銀河形成の謎を解明する糸口がつかめるかもしれない。
中年の不老長寿薬?
さまざまな病気の治療薬として認められている低分子「ラパマイシン」は、マウスの寿命を大幅に延ばすことがわかった。これは、人間の不老長寿薬に向けた一歩となるのだろうか。
Essay
科学ジャーナリズムの「聖職者モデル」を超えて
科学ジャーナリストにきちんとした批評をさせるには、科学的知見の生成過程を開示する必要がある。
科学ジャーナリズムの歴史的変遷
100年以上の歴史をもつ科学ジャーナリズムは、科学のチアリーダーから監視役へと進歩・変遷を遂げてきた。
盛り上がるアラブ世界の科学ジャーナリズム
アラブ諸国で研究活動が活発化するに伴い、メディアも科学報道を増やしている。しかし、この地域のジャーナリズムにはなお改善の余地が多い。
News
新型インフルエンザウイルスは1918 年流行のものと似ている?
インフルエンザの世界的大流行に1度遭遇すると、その後の大流行に対する防御力が得られるのかもしれない。
雨粒はどうやってできる?
1粒の水滴が破裂して、雨となる。
英語でNature
小惑星帯を縁取る氷の謎を解く
それらは、惑星の軌道配置が変化した際に「原始天体」が捕獲されたものかもしれない。
Advertisement