2010年10月号Volume 7 Number 10

フィールド研究者の命を救う医師

砂漠で恐竜化石を発掘する古生物学者、熱帯密林で感染症の病原体サンプルを採集する医学生物学者……。科学のフロンティアは、今日でも奥地・僻地であることが多い。そんな場所で、科学者が病気や事故に遭うこともある。医薬や医療機器が万全でないへき地に同行し、科学者の命を救い、自身もそこで科学研究を進める人、それが野外治療を専門とする救急医だ。

Editorials

2050年の地球の推定総人口91億人に、十分な食料を供給するのは可能だとされる。しかし、それを許容できるコストで実現できるかどうかは、ハイテク育種だけでなく農法のようなローテクに至るまで、多種多様な農業研究がカギを握っている。

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News

この夏、ロシア全土で大規模な森林火災が発生した。 森林管理体制を改善しないかぎり、 今後、制御不能な火災の発生件数が増えていくことが予想される。

大学教官が自ら起業する場合、大学に発明を開示して、特許を取得し、独立して事業展開する、というのが標準的なルートだと考えられている。ところが、最近実施された大規模な調査では、米国の大学教官が会社を設立した事例の半数以上が、このルートをたどっていないことが判明した。

マウスで皮膚細胞を心筋細胞に直接転換できたことで、将来、細胞移植しなくても、心臓にある繊維芽細胞をそのまま心筋細胞に転換できるようになるかもしれない。

1979年、メキシコ湾の石油試掘井「イストクI」で爆発事故が発生し、大量の原油が海に流出した。生態系の一部は速やかに回復したが、この事故が環境に及ぼした長期的影響についてのデータはほとんどない。原油の流出が止まると、調査は早々に打ち切られてしまったからだ。

月のクレーターの詳細な調査が進めば、他の太陽系天体の地表面形成年代も、高い精度で推定できるようになるだろう。

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News Features

飢餓が依然として大きな問題であり続けている。しかしそれは、一般の人々が想像するような理由からではない。Natureは食糧問題に関係するデータの傾向を分析し、その課題を検討した。2050年に地球人口は90億人を超えると推定される。

これまでの農業研究では、根はほとんど無視されてきた。しかし、環境にダメージを与えずに収量を増やすという目標に向けて、特に植物育種の分野で、根の重要性が注目され始めている。

研究者が、へき地での野外研究の最中にけがをしたり急病になったりしたら、頼れるものはほとんどない。そうした現状を変えようとしている野外医療のパイオニアがいる。

北米大陸西部の地下で周期的に発生して長時間持続する微弱な震動は、大地震の予測に役立つ可能性がある。そのためにはまず、この震動の意味を明らかにする必要がある。

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Japanese Author

体外から食べ物を取り込む小腸や大腸は、病原体の侵入を受けやすい場所でもある。腸に棲む非病原性の常在細菌が、腸の免疫系を普段から活性化し、感染に備えた準備状態を作り出していることがわかってきた。こうした仕組みの解明を進める本田賢也博士に、常在細菌と免疫系の関係、および今後の研究の展開についてうかがった。

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News & Views

エキゾチック原子系の分光学によって、陽子の大きさが測定された。測定結果はこれまでにない高い精度で得られたが、従来の測定方法で得られた値とは一致しなかった。

生きている細胞で、特定の部位にかかっている張力を測定するのは、技術的にたいへん難しい。今回、蛍光の変化で張力を測定できるバイオセンサーを細胞内タンパク質で実現し、移動している細胞で生じる張力の、局所的変化の特徴が調べられた。

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News Briefing

8月1日に太陽表面でCクラスに相当する中規模の太陽フレアが発生し、その後、地球の大気中で美しいオーロラが輝いた。

欧州宇宙機関(ESA)は、プランク衛星の望遠鏡が撮影した宇宙背景放射(CMB)の、初の全天画像を公開した。

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英語でNature

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