Article 個々の細胞における多数のDscamスプライスバリアントの発現は確率論的であるが偏りをもつ 2004年3月1日 Nature Genetics 36, 3 doi: 10.1038/ng1299 ショウジョウバエDrosophila melanogasterの遺伝子Dscamは軸索誘導に不可欠であり、理論上38,016種類の選択的スプライシングの型が存在する。この多様性は、細胞の識別に利用可能と考えられる。我々は、DscammRNAのアイソフォームの発現を細胞タイプの違い、および個々の細胞による違いで解析した。どのスプライスバリアントが発現されるか、その選択は空間的および時間的に制御されている。光受容器のタイプの違いで比べると、Dscamアイソフォームの発現には幅広いが固有のスペクトルパターンが示された。1個の細胞からのRT-PCR(Single-cell RT-PCR)により、個々の細胞には何種類かのDscamアイソフォームが発現していることが明らかになり、個々の細胞に存在する多様性を評価することができた。例えば、R3/R4光受容器の各細胞は、それが属する細胞タイプに固有のスペクトルを示しながら発現する何千ものスプライスバリアントのなかから、14〜50種類のmRNAを選んで発現していると推定できた。したがって、1つ1つの細胞のDscamレパートリーは、その隣の細胞のDscamレパートリーとは異なっており、そのことが神経系をはじめとする組織での細胞の独自性を生みだす機構となっている可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る