Letter インプリンティングを受けた遺伝子Igf2とH19は、親の由来によってメチル化の程度が異なる領域間での相互作用によって仕切られ、親特異的なクロマチンループに組み込まれる 2004年8月1日 Nature Genetics 36, 8 doi: 10.1038/ng1402 インプリンティングを受けた遺伝子は、親由来の対立遺伝子のどちらか一方からのみ発現し、DNAのメチル化やヒストンの修飾によってエピジェネティック(後成的)に印がつけられる。マウス7番染色体の遠位部において、父親由来で発現するインスリン様成長因子2遺伝子(Igf2)は、母親由来で発現しタンパク質をコードしない遺伝子H19からおよそ100kb離れている。Igf2とH19に存在する親の由来によってメチル化の程度が異なる領域は、クロマチン境界、サイレンサー、アクチベーターを含み、メチル化の程度に依存して、2つの遺伝子が共有するエンハンサー群への排他的アクセスを可能とすることで、2つの遺伝子の相反する発現を制御している。Igf2とH19を区別し、活性と不活性のドメインへ別々に組み込むようなさまざまなクロマチンモデルが提唱されてきた。本論文では、マウスにおいて、インプリンティングを受けた遺伝子であるIgf2とH19の、区別してメチル化される領域の間に相互作用があることを示すために、染色体高次構造記録法と同時にGAL4ノックイン法を用いた。これらの相互作用は、後成的に制御されており、母親と父親由来の染色体が別々のループを形成するように、染色体を仕切るのである。これにより、Igf2が活性と不活性の染色体ドメイン間を行き来するための簡単な後成的スイッチが生み出される。 Full text PDF 目次へ戻る