Letter BBSタンパク質の喪失は、ヒトにおける臭覚消失、マウスでは嗅繊毛の構造と機能の異常を引き起こす 2004年9月4日 Nature Genetics 36, 9 doi: 10.1038/ng1418 繊毛の運動障害は、カルタゲナー症候群(Kartagener syndrome)、多発性嚢胞腎(polycystic kidney)、ネフロン癆(nephronophthisis)および水頭症をはじめとする、いくつかのヒトの疾患にともなって起こる。我々は、網膜変性、体幹の肥満、腎と四肢の奇形、発育遅滞を含む、バルデー-ビードル症候群(Bardet-Biedl syndrome ; BBS)の多面的な表現型が基底小体と繊毛の機能不全に起因すると提唱した。本論文では、BBS患者が部分的あるいは完全な嗅覚消失を発症していることを示す。この表現型が嗅覚の感覚ニューロンの繊毛の不具合によって引き起こされるかどうかを検証するため、Bbs1あるいはBbs4が欠失したマウスを調べた。いずれのBBSタンパク質の機能喪失も、気道上皮には作用しなかったが、嗅上皮には影響を及ぼし、嗅繊毛縁を著しく縮小させ、樹状突起の微小管ネットワークを破壊し、樹状突起や細胞体の内部に嗅繊毛タンパク質を閉じ込めた。我々のデータは、BBSタンパク質が哺乳類の繊毛細胞の微小管構造形成において役目をもつこと、そして嗅覚消失が、繊毛の関与の疑われる、その他の多機能障害の有用な診断材料となる可能性があることを示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る