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クロマチンによって調節される、転写因子の条件依存性標的部位を指定する機構

Nature Genetics 38, 12 doi: 10.1038/ng1917

生物はその環境における変化に応答し、そしてそのような応答の多くは転写レベルから開始される。本論文では、今まで明らかにされていない、環境変化への応答の際に転写調節因子にその標的となる新規の結合部位を指示する機構についての証拠を示す。まず、酵母の代謝系における主要調節因子であるRap1(repressor-activator protein 1)が、グルコース欠乏後に、タンパク質レベルの低下がみられ、かつ翻訳後修飾を示すものは何もないにもかかわらず、グルコース存在時には結合することのない標的部位に結合することを明らかにした。コンピュータ分析から、クロマチン制御因子であるTup1を特定部位へと動員する能力を示すタンパク質が、グルコース存在下においては、Rap1の標的部位への結合を制限するように機能するのではないかと考えられた。Tup1、Tup1動員タンパク質、Tup1によって動員されるクロマチン制御因子をコードする遺伝子(群)を欠失させると、Rap1は特異的かつ不適切に低グルコース標的部位に結合するようになった。これらの研究成果を踏まえて、全ゲノム領域におけるヌクレオソームの占有率およびTup1分布状態を調べたところ、転写因子に中等度の結合親和性を示すDNA配列モチーフはゲノム全体にわたって分布しており、これらの部位への転写因子のアクセス能がクロマチン構造によって制御されているという、転写因子の標的部位を条件特異的に特定する動的な機序についての証拠が得られた。

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