Letter 転写因子TCF7L2の変異は2型糖尿病のリスクを与える 2006年3月1日 Nature Genetics 38, 3 doi: 10.1038/ng1732 我々は、以前に、2型真性糖尿病が染色体10qに連鎖するのではないかと報告した。今回我々は、アイスランドの2型糖尿病患者と健常者の集団に対して関連解析を行い、10q上の10.5Mbの領域にわたって、228のマイクロサテライトマーカーについて遺伝子型を調べた。転写因子であるTCF7L2(transcription factor7-like 2;以前の呼称はTCF4)の遺伝子の3番目のイントロン内部にあるマイクロサテライトDG10S478は、2型糖尿病に関連していた(P=2.1×10-9)。この知見はデンマークのコホート(P=4.8×10-3)でもアメリカのコホート(P=3.3×10-9)でも同様に観察された。リスク対立遺伝子をホモ接合性、またヘテロ接合性で保有する者(それぞれ、集団の38%、7%に相当する)は、非保有者に比べた相対リスクが1.45と2.41である。この値は集団に起因するリスク(集団寄与リスク)が21%であることに相当する。TCF7L2の遺伝子産物は、HMG(high mobility group)ボックスを含む転写因子で、血糖ホメオスタシスへの関与がすでに報告されている。TCF7L2は、腸内分泌細胞におけるプログルカゴンの遺伝子発現をWntシグナル伝達経路経由で調節することによって機能すると思われる。 Full text PDF 目次へ戻る