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遺伝子相互作用:遺伝子欠失の組み合わせによる高分解能の適応プロファイリングを使った系統的経路解析

Nature Genetics 39, 2 doi: 10.1038/ng1948

遺伝子相互作用の系統的解析によって多くの細胞過程が解明されている。本論文では、出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeの26の遺伝子について、遺伝的相互作用を定量的に解析する。これらの遺伝子は、DNA損傷剤であるメタンスルホン酸メチル(MMS)に対して耐性の遺伝子で、欠失変異株のライブラリに対してケモゲノミクスによる適応プロファイリングをおこなうことで選択された。単一欠失変異株と、あらゆる組み合わせの二重欠失変異株の適応をMMS添加および添加なしの条件下で測定した。機能的に関係のない遺伝子群の変異対立遺伝子が示す有害な適応効果は、相乗的であるはずであると予想される。そこで、二重欠失変異をもつ遺伝子対について、この予想から逸脱した適応度を示すものを、悪化させる相互作用および向上させる相互作用と定義した。また、適応を向上させる相互作用のエピスタシスについて、伝統的な遺伝的サブクラスに分けて、経路の順序を推定可能にした。結果として得られた遺伝子ネットワークから、Mph1ヘリカーゼが相同組換えにより生じたDNA中間体を元の状態に戻すと予想された。このMph1ヘリカーゼの機能はSgs1ヘリカーゼのものと(別個ではあるが)似ている。本研究成果は、機能的関連性や細胞過程の経路の順序を明らかにするうえで、低分子化合物と多因子性(複数遺伝子における)欠失変異体が有用であることを強調するものである。

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