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シグナル伝達:負のフィードバック調節因子のモジュールが増殖因子のシグナル伝達を決定する
Nature Genetics 39, 4 doi: 10.1038/ng1987
シグナル伝達経路は、強力な細胞応答を行うために、正のシグナル伝達とそのフィードバックとの間の相互作用を引き起こす。本論文では、タンパク質のリン酸化と遺伝子発現のプロファイリングによって、増殖因子のシグナル伝達のダイナミクスを検討し、動態学的に遅延型と定義される初期遺伝子クラスターの存在を明らかにし、それらが増殖因子のシグナル伝達の初期イベントを低下させるように機能することを示す。我々は、主要なモデル系として上皮増殖因子受容体シグナル伝達を使用し、転写とmRNAの安定性の調節に重点を置いて、遅延型初期遺伝子クラスター内の多くの遺伝子が、前初期遺伝子のフィードバック調節因子として機能することを明らかにした。このクラスター内の遺伝子は、さまざまなタイプの腫瘍において発現が低下しており、また臨床転帰との相関が認められるが、こうしたことは、これらの遺伝子が細胞のシグナル伝達を負に調節する役割をもつことと一致する。本研究の成果をより一般的にいうと、それは、シグナル伝達ネットワークの機能の基礎となる構造的なモチーフを定めることによって、増殖因子に対する細胞応答のメカニズムの解説を提示するものである。