前立腺癌:前立腺癌に関する全ゲノム関連解析は8q24の第2のリスク座位を同定する
Nature Genetics 39, 5 doi: 10.1038/ng2022
最近、ヒト染色体8q24に存在する一般的な変異が前立腺癌の発症リスクと関連があることが明らかにされた。我々は、Cancer Genetic Markers of Susceptibilityプロジェクトとして、550,000のSNPを用いたコホート内症例対照研究(ヨーロッパ系の症例群1,172と対照群1,157)という全ゲノム関連研究をおこなっている。そのなかで、8q24に、前立腺癌感受性に対して独自に影響する新たな関連を同定した。最も有意な関連を示す変異は、以前に報告されたSNPであるrs1447295から70 kb動原体側に存在していたが、rs1447295と連鎖不平衡がみられるという証拠はほとんどなかった。このほかの4種の関連解析と合わせた関連解析(症例群総数4,296、対照群総数4,299)によって、動原体座位にあるrs6983267が前立腺癌と関連することが確認された[P=9.42×10-13、ヘテロ接合体 オッズ比(OR):1.26、95%信頼区間(c.i.):1.13-1.41。ホモ接合体 OR:1.58、95%c.i.:1.40-1.78]。それぞれのSNPは、他方に対して調整したあとの結合解析(joint analysis)において依然として有意な関連を示した。これらの知見は、2つのマーカー間に組換えホットスポットがあるという強力な証拠と相まって、8q24内部の、少なくとも2つの独立した、ヨーロッパ系男性の前立腺癌発症にかかわる座位の存在を示唆するものである。我々は、rs6983267を指標とする新たな座位の人口寄与リスクが、rs1447295で示される座位のリスクよりも高い(前者21%、後者9%)と推定している。