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カスパーゼ:CASP8プロモーターの6塩基の挿入・欠失多型は複数の癌の感受性と関連する
Nature Genetics 39, 5 doi: 10.1038/ng2030
カスパーゼは免疫細胞の生死に重要であり、それゆえ、悪性腫瘍に対する免疫監視機構に影響を与える。本論文では、CASP8、CASP10およびCFLARの遺伝的変異が、癌感受性と関連するかどうかを検討した。この3つの遺伝子は、染色体2q33に縦列に並んで存在しており、細胞死受容体が誘導する細胞の殺作用に重要である。我々は、ハプロタイプ・タギングSNPのアプローチを使用して、CASP8プロモーターにおいて肺癌リスクの低下に関連する6塩基の欠失(−652 6N del)変異を同定した。この欠失は、stimulatory protein 1の結合部位を破壊し、CASP8の転写を低下させる。生化学的な解析によって、欠失変異があるTリンパ球は、癌細胞抗原での刺激に対して、カスパーゼ8活性や活性化後細胞死がより低下していることが示された。中国人集団での癌患者4,995人とその対照4,972人の症例対照研究によって、この遺伝的変異は、対立遺伝子量依存的に機能し、肺癌、食道癌、胃癌、結腸直腸癌、子宮頸癌、乳癌を含む、複数の癌の感受性低下に関連することが示された。これらの結果は、免疫状態に影響を与える遺伝的変異が、癌感受性を変化させるという仮説を支持するものである。