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エピジェネティクス:エピジェネティックな再プログラミングのための修飾因子はマウスで父性効果を示す
Nature Genetics 39, 5 doi: 10.1038/ng2031
哺乳類のエピジェネティックな情報が、配偶子において、あるいは初期発生胚においても高度に再プログラミングされるにもかかわらず、世代を超えて受け継がれる可能性があるという証拠が次々に得られている。このように世代間でエピジェネティックな情報が受け継がれるのであれば、再プログラムに関与する遺伝子群に生じた突然変異に対してヘテロ接合性であることが原因となって、親の配偶子におけるエピジェネティックな状態が形成されえない場合には、変異型対立遺伝子を受け継がない子孫の表現型が影響を受ける可能性があるということになる。本論文で我々は、マウスではそのような効果が実は父性遺伝を経て生じることを示す。我々は、成体マウスにおいて転写および染色体倍数性に変化が生じていることを検出した。このような父性効果は哺乳類では今までには報告されておらず、雄親側の、世代間で伝達されない遺伝子型がその子孫の表現型に影響を及ぼす可能性を示唆するものである。