Letter 薬物性肝障害:遺伝子型HLA-B*5701はフルクロキサシリンによる薬物性肝障害の主要な決定因子である 2009年7月1日 Nature Genetics 41, 7 doi: 10.1038/ng.379 薬物性肝障害(DILI)は、重篤な肝疾患の原因として重要である。抗菌薬フルクロキサシリンはDILIの一般的な原因であるが、その易罹患性の遺伝的基盤は明らかになっていない。我々は、フルクロキサシリンによるDILIの症例51例とそれに性別と民族群がマッチした対照282例において、866,399のマーカーを使用し、ゲノムワイド関連(GWA)解析を行った。GWA解析の結果、主要組織適合複合体(MHC)領域に関連のピークがあり、rs2395029[G]に最も強い関連がみられた(P=8.7×10−33)。このマーカーはHLA-B*5701とcomplete LD(LD:連鎖不平衡)を示した。さらに、MHCの遺伝子型判定を、フルクロキサシリン耐性を示す対照64例を含めて行い、HLA-B*5701との関連を確認した(OR=80.6、P=9.0×10−19)。症例23例からなる2番目のコホートにおいて、この関連の再現性が得られた。HLA-B*5701保因者の症例では、3番染色体上のST6GAL1のrs10937275もゲノムワイドな有意性を示した(OR=4.1、P= 1.4×10−8)。これらの知見は、フルクロキサシリンによるDILIの機構を理解する新しい手がかりとなり、この重篤な疾患の診断を大幅に改善する可能性をもつものである。 Full text PDF 目次へ戻る