上皮性卵巣がんの発症には遺伝継承する原因が関係するが、家系による過剰リスクの半分以上は既知の感受性遺伝子では説明できない。頻度の高い卵巣がん感受性対立遺伝子を同定するために、ゲノムワイド関連解析(GWAS)を行った。まず、英国における症例1,817例、対照2,353例における遺伝子型解析の結果得られた507,094種類のSNPと、およそ200万種類の推定SNPについて調べた。続いて、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアのヨーロッパ系集団の症例4,274例、対照4,809例で、関連性が上位にランクされる22,790種類のSNPを解析した。その結果、疾患リスクと関連する12種類のSNPを9p22に同定した(P<10−8)。最も有意性の高いSNP(rs3814113、P=2.5×10−17)を別個の卵巣がん症例2,670例、対照4,668例で解析したところ、疾患関連性が確認された 〔統合データでのオッズ比(OR)=0.82、95%信頼区間(CI)0.79-0.86、Ptrend=5.1×10−19〕。SNPの関連性は組織学的サブタイプによって異なり、漿液性卵巣がんの場合に最も強い関連を示した(OR 0.77、95% CI 0.73−0.81、Ptrend=4.1×10−21)。