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転写:南モロッコにおけるヒト白血球遺伝子発現多型の地理的ゲノミクス

Nature Genetics 42, 1 doi: 10.1038/ng.495

遺伝子発現の遺伝学的研究から、転写産物の存在量の差異を説明する発現SNP(eSNP)を明らかにすることができる。本論文では、南モロッコの1都市と2村のアラブ系住民およびアマジグ系住民194人の比較において、eSNPと環境地理学や人口構造との関連が強固であることを述べる。遺伝子発現は、すべての転写産物の最大3分の1まで、地域ペア間で異なっており、リボゾーム生合成および酸化的リン酸化に関与する転写産物の存在量の差が際立っていた。強固な関連が、白血球サンプルにおいて見いだされた。つまり、シス性のeSNP(P<10−8)が346遺伝子に、また、トランス性のeSNP(P<10−11)が10遺伝子に同定された。これらすべての関連は、サンプルの3地域にわたって、また、祖先や血縁関係で調節した場合においても、一貫して認められた。広範囲にわたる環境の影響の、大きな効果をもつトランス作動性メディエーターの証拠はみつからなかったが、主として相加的に作用する遺伝的要因および環境的要因は認められた。

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