Article トウモロコシのトランスクリプトーム解析:トウモロコシの葉の発生に伴うトランスクリプトームの動態 2010年12月1日 Nature Genetics 42, 12 doi: 10.1038/ng.703 イルミナ社の塩基配列決定技術を利用してトウモロコシの葉のトランスクリプトームを解析した。1億2,000万本を超えるリードの位置を特定することにより、遺伝子の構造および選択的スプライシングの発現が明らかにされ、葉の発生時の勾配に沿った転写物量、ならびに成熟した維管束鞘および葉肉の細胞内の転写物量が定量された。多くのトウモロコシ遺伝子に関して、mRNAには差次的なプロセシングが見出された。遺伝子の64%は発生時の勾配に沿って差次的に発現しており、維管束鞘細胞と葉肉細胞の間でも21%の遺伝子に差次的発現が認められた。我々は電子蛍光ピクトグラフブラウザー「Gブラウズ(Gbrowse)」を実装し、二細胞生化学的経路ビューアーを作成してデータセットを可視化した。データのクラスター解析によって動的なトランスクリプトームが明らかになり、葉身基部の一次細胞壁および基礎的細胞代謝の転写物は、葉端に向かって二次細胞壁の生合成およびC4光合成系の発達に関する転写物に遷移していった。このデータセットは、光合成系の発達を理解するためのシステム生物学的研究の基盤として有用と考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る