Letter 繊毛関連疾患:TMEM216の突然変異によって、繊毛形成が損なわれ、ジュベール症候群、ジュベール症候群関連疾患、メッケル症候群が発症する 2010年7月1日 Nature Genetics 42, 7 doi: 10.1038/ng.594 ジュベール症候群(JBTS)、ジュベール症候群関連疾患(JSRD)、メッケル症候群は繊毛関連疾患である。本論文では、MKS2遺伝子座およびCORS2(JBTS2)遺伝子座の、疾患に関連するDNA配列(対立遺伝子)の違いが、TMEM216内の突然変異に起因することを報告する。TMEM216は、機能が明らかでない、4つの膜貫通ドメインを有するタンパク質をコードしている。JSRD患者はしばしばネフロン癆や多指症を発症しており、そのうち2名の病態は口・顔・指症候群VI型の症状に一致した。一方、MKSを発症した胎児では、骨格形成異常が高頻度でみられた。アシュケナージ系ユダヤ人のJSRD患者では、すべての家系(総数10)でTMEM216の変異として同定されたのは、G218T変異(タンパク質ではR73L変異)であった。TMEM216は一次繊毛の底部に局在しており、変異型線維芽細胞や、TMEM216のノックダウンのように、TMEM216が失われた場合には、繊毛形成および中心体のドッキングが起こらなくなっていた。このとき同時に、RhoAおよびDishevelledが過剰に活性化されていた。TMEM216は、Meckelinと複合体を形成していた。JRSDおよびMKSの患者では、Meckelinタンパク質をコードしている遺伝子にも、変異が生じていた。ゼブラフィッシュにおいてtmem216の発現を阻害すると、それ以外の繊毛モルファントの場合と同様に、原腸が形成されなかった。上記の結果は、繊毛関連疾患に関与する新たなタンパク質ファミリーに関係するものであるとともに、繊毛関連疾患による異常が、ある特定の遺伝子の変異に起因していることを裏づけるものである。 Full text PDF 目次へ戻る