Letter 生殖細胞系列の変異:ヒトの家族内および家族間のゲノムワイドな 変異率の多様性 2011年7月1日 Nature Genetics 43, 7 doi: 10.1038/ng.862 J.B.S.ホールデンは1947年に雄の生殖細胞系列は雌の生殖細胞系列より変異が誘発されやすい可能性を提唱した。さまざまな研究によって、ヒトを含むさまざまな哺乳類では、雄の生殖細胞系列により高い平均変異率がみられるというホールデンの主張が裏付けられている。本論文では、両親と子の三人組からなる2家族の完全なゲノム配列に基づき、男性と女性の生殖細胞系列の変異率の直接比較解析を、我々の知る限り初めて示す。詳細な検証から、三人組の子の2人にそれぞれ49個および35個の生殖細胞系列のde novo変異(DNM)を同定した。体細胞あるいは体細胞由来の細胞株のどちらかのDNAで生じた非生殖細胞系列のDNMは1,586個であった。1家族において、生殖細胞系列のDNMの92%が父親の生殖細胞系列に由来したことは特筆すべきことであるが、対照的に、もう一方の家族では、DNMの64%が母親の生殖細胞系列由来であった。これらの知見から、家族内および家族間の変異率にはかなりの多様性があることが示唆される。 Full text PDF 目次へ戻る