Letter ADHD:ゲノムワイドのコピー数変異解析によって代謝型グルタミン酸受容体遺伝子ネットワークと注意 欠陥多動性障害との関連が判明した 2012年1月1日 Nature Genetics 44, 1 doi: 10.1038/ng.1013 注意欠陥多動性障害(ADHD)はよくみられる神経精神疾患で、原因不明だが遺伝継承することがわかっている。今回、ヨーロッパ系のADHD患児(症例)1,013人および健常児(対照)4,105人を対象に、550,000個のSNPを用いてゲノムワイドコピー数変化(CNV)解析を行った。さらに、複数の別個のコホートで統計学的有意性を示すようなCNVの有無を調べた。これらのコホートは総計で、ヨーロッパ系ADHD患者2,493人、対照9,222人であり、整合するアレイプラットフォームを用いて行った。その結果、代謝型グルタミン酸受容体遺伝子に影響を及ぼすCNVがすべてのADHDコホートで多数検出された(P=2.1×10–9)。GRM5(代謝型グルタミン酸受容体5型をコードしている)の欠失が患者10人および対照1人で見つかった(P=1.36×10–6)。GRM7の欠失およびGRM8の欠失は、患者ではそれぞれ6人と8人で検出されたが、対照者では検出されなかった。GRM1の重複は、患者8人でみられた。CNVの有無についてのこれらの知見が正しいものであることを、定量RT-PCRを行い実験的に確かめた。遺伝子ネットワーク解析を行い、対照者での検出を加味して補正を加えたところ、患者のおよそ1割で、GRM遺伝子ファミリー構成遺伝子と相互に影響を与える関係にある遺伝子にCNVが多く生じていることが判明した(P=4.38×10–10)。本研究結果は、複数のADHDコホートでよく検出された頻度の低い反復性のCNVが、グルタミン酸神経伝達遺伝子に影響するものであること示す。 Full text PDF 目次へ戻る