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変異率:創始者集団での同祖接合性を用いたヒト変異率の推定
Nature Genetics 44, 11 doi: 10.1038/ng.2418
新規変異の速度やパターンについて知ることは、ヒトの疾患や進化の理解に重要である。我々は、家系が明確になっているキリスト教フッター派の集団において、広範囲にわたる同祖接合性を用いて、複数の世代にわたってヒト配列の変異率を推定した。両親と子の三人組からなる5組の全ゲノムの配列を決定し、44の同祖接合性断片を同定した。同祖接合性対立遺伝子対のそれぞれを分離する減数分裂の数と、512 Mbの同祖接合性DNAから確認された72個のヘテロ接合性一塩基多様体(SNV)を用いて、世代あたり塩基対あたり1.20×10−8のSNV変異率を得た(95%信頼区間0.89–1.43×10−8)。CpGジヌクレオチド内の塩基の変異率(9.72×10−8)は非CpG塩基の変異率の9.5倍であった。また、新規変異には父親起源の偏りがある強力な証拠(P=2.67×10−4)が得られた(85%父親起源)。我々は、同祖接合性断片におけるヘテロ接合性SNV(新しく同定されたSNVと既知のSNVの両方)の不均一な分布を観察した(P=0.001)。これは、変異のホットスポットあるいは長距離の遺伝子変換部位があることを示唆している。