Letter
免疫:CSKの調節性多型は、全身性エリテマトーデスに関連し、また、B細胞のシグナル伝達や活性化に影響を与える
Nature Genetics 44, 11 doi: 10.1038/ng.2439
c-SrcチロシンキナーゼであるCskは、細胞内ホスファターゼであるLyp(PTPN22にコードされる)と物理的に相互作用し、リンパ球において、Lynなどの、下流のSrcファミリーキナーゼの活性化状態を修飾できる。我々は、CSKと全身性エリテマトーデス(SLE)の関連を明らかにし、その位置をイントロン内の多型rs34933034に絞り込んだ〔オッズ比(OR)=1.32、P=1.04×10−9〕。このSNPのリスク対立遺伝子は、CSK発現の上昇に関連しており、Lynの機能を抑制するリン酸化を増強する。このリスク対立遺伝子を持つ人は、非リスクハプロタイプの人と比較して、成熟B細胞のB細胞受容体(BCR)を介する活性化が増強されており、また、血漿の免疫グロブリンM(IgM)の濃度も上昇している。そのうえ、このリスク対立遺伝子を持つ人の臍帯血では、transitional B cell(移行期B細胞)分画が2倍になっているが、これは、選択機構の標的となる段階での、後期の移行期B細胞の増殖のためである。このことから、Lyp-Csk複合体がB細胞の複数の成熟および活性化の段階で全身性エリテマトーデスへの感受性を増加させていることが示唆される。