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皮膚疾患:AAGABのハプロ不全は、臨床的に一律でない病型を示す点状掌蹠角化症を引き起こす
Nature Genetics 44, 11 doi: 10.1038/ng.2444
掌蹠角化症(PPK)は、皮膚疾患の遺伝的解析という点で診断上および治療上やっかいな病型の1つである。点状PPKは、掌や足底に生じた、著しく多様な限局性過角化病変を特徴とする。本論文では、常染色体優性点状PPKの18の家系における、AAGABのヘテロ接合性機能喪失変異について報告する。AAGABはα-およびγ-アダプチン結合タンパク質p34をコードしている。今回同定した変異はこれまでにこの疾患との関連が明らかにされていた15q22内の座位に存在していた。α-およびγ-アダプチン結合タンパク質p34は、Rabとよく似たGTPaseドメインを有する細胞質ゾルタンパク質である。そしてp34が両方のクラスリンアダプタータンパク質(AP-1とAP-2)複合体と結合することが判明した。このことから、p34の膜輸送への関与が示唆された。病変表皮の微細構造を調べると、細胞内小胞の生態に異常が観察された。また、点状病変の免疫組織化学的解析を行ったところ、過増殖が見つかった。ここで、角化細胞においてAAGABをノックダウンすると、細胞分裂の回数が増加した。そして同時に、表皮細胞増殖因子受容体(EGFR)タンパク質の発現とチロシンリン酸化にも、著しい上昇がみられた。上記の結果から、p34の欠損によって、EGFRのような増殖因子受容体のエンドサイト―シスの過程におけるリサイクリングが損なわれ、シグナル伝達や細胞増殖が亢進する可能性があると仮定した。