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心血管代謝:ゲノムワイド関連解析によってヒト血清中の代謝物濃度に影響を及ぼす複数の座位が同定された

Nature Genetics 44, 3 doi: 10.1038/ng.1073

NMR解析を用いれば、さまざまな種類の代謝表現型を測定することが可能である。今回、8,330人のフィンランド人を対象に、NMRによって測定された216種類の血清試料中代謝表現型と770万のSNPについてゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い、代謝表現型に関係する遺伝子型の同定および推定を行ったので報告する。その結果、31の座位で有意な関連(P<2.31×10–10)を同定した。そのうち11の座位は、代謝形質や代謝異常との関連がこれまでに明らかになっていなかった領域であった。フィンランド人双生児についての解析から、NMRによって測定された代謝表現型の測定値の遺伝率は、それに匹敵する従来法で測定された代謝物表現型の遺伝率に比べて、高いことが示唆された。予想と違わず、各種の代謝物と関連付けられた31の座位に存在するSNPが、形質の差異を引き起こす遺伝的要素のかなりの部分(最大で遺伝率40%)を占めており、これは従来法で得られていた代謝表現型で観察される値よりも大きいものである。このような関連を同定することから、心血管代謝異常についての重要な手がかりが得られると期待される。

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