Article 繊毛関連疾患:軸糸ダイニンアセンブリ因子DNAAF3の突然変異は原発性繊毛ジスキネジアを引き起こす 2012年4月1日 Nature Genetics 44, 4 doi: 10.1038/ng.1106 原発性繊毛ジスキネジアはほとんどの場合、繊毛の波打ち運動を駆動するダイニンモーターの機能不全に起因している。ダイニンはあらかじめ複合体を形成(プリアセンブリ)したのち、繊毛へと運ばれる。本論文では、DNAAF3(PF22とも呼ばれる)という、これまで知られていなかったタンパク質がこのプリアセンブリの過程に必須であることを明らかにする。まず、ヒトのDNAAF3遺伝子の機能喪失型変異を、内臓逆位および外腕および内腕ダイニンのアセンブリの異常を呈する家系において見出した。そこで、ゼブラフィッシュのdnaaf3をノックダウンしたところ、ダイニン腕のアセンブリおよび繊毛運動性が同様に損なわれ、その結果、水頭症および内臓の左右非対称配置の異常をはじめとする、原発性繊毛ジスキネジアの症状を示した。さらに、クラミドモナスのPF22は細胞質だけに存在し、PF22のヌル変異型クラミドモナスにおいては、すべての外腕ダイニンおよび一部の内腕ダイニンのアセンブリが観察されなかった。DNAAF3(PF22)の変異型クラミドモナスにおいてダイニンサブユニットの存在度が異なっていたことから、DNAAF3(PF22)が、ダイニンのプリアセンブリ過程に関与する他のタンパク質、例えばDNAAF2(PF13やKTUとしても知られる)およびDNAAF1(ODA7やLRRC50としても知られる)といったタンパク質と同じような段階で機能していることが示唆された。今回の研究成果は、進化の過程で保存され、細胞質における繊毛ダイニン複合体のアセンブリを担う多段階経路の存在を裏付けるものである。 Full text PDF 目次へ戻る