Letter

脳容積:ヒトの海馬と頭蓋内容積に関連する遺伝的多型

Nature Genetics 44, 5 doi: 10.1038/ng.2250

ヒトの脳の構造に影響を及ぼす遺伝的多型を知ることは認知や神経精神疾患の基盤をなす新しい生物学的機構を解明するかもしれない。海馬の容積は潜在性のアルツハイマー病のバイオマーカーの1つであり、またその減少が精神分裂病、大うつ病、内側側頭葉てんかんで見られる。脳画像の表現型には遺伝継承されるものが多いが、その効果が微細なこと、MRIの費用が高額であることにより、遺伝的影響を見つけて確認することは不十分な研究になりがちであった。この論文では、大きな多国籍共同研究に基づいて、平均両側海馬、脳全体、頭蓋内容積に対するゲノムワイド関連解析のメタ解析と追試研究について報告する。遺伝子間多型であるrs7294919は海馬の容積に関連し(12q24.22、N=21,151、P=6.70×10–16)、遺伝子位置に基づく候補遺伝子TESCの脳組織での発現に関係していた。さらにHMGA2内のrs10784502は頭蓋内容積と関連していた(12q14.3、N=15,782、P=1.12×10–12)。また、脳全体の容積はDDR2内のrs10494373との関連が示唆された(1q23.3、N=6,500、P=5.81×10–7)。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度