Letter トウモロコシ:現代のトウモロコシ育種で生じているゲノム全体の遺伝的変化 2012年7月1日 Nature Genetics 44, 7 doi: 10.1038/ng.2312 現代のトウモロコシ育種の成功は、過去40年間にわたる生産性の大幅な向上によって示されている。しかし、この成果と相関する根源的な遺伝的変化は、今なおほとんど明らかにされていない。本論文では、育種履歴のさまざまな段階にある近交系温帯性トウモロコシ278系統の塩基配列決定結果を示す。この中には、系統情報が知られている4系統の高カバー率塩基配列再決定も含まれる。その結果は、現代の育種によってトウモロコシゲノムにきわめて動的な遺伝的変化が導入されたことを示している。人為的な選択により、遺伝子および非遺伝子領域を含む数千か所の標的に影響がおよび、塩基の多様性が低下するとともに、希少な対立遺伝子の比率が上昇した。系統による同一性(identity-by-descent)の領域内でも育種による遺伝的変化が急速に発生し、大規模な変異(SNP、挿入欠失、およびコピー数多型)が生じている。現代のトウモロコシ育種で生じている遺伝的変化に関する今回の全ゲノム的な評価は、将来の作物育種およびバイオテクノロジーに関して、実際的な標的とともに新しい戦略をもたらす。 Full text PDF 目次へ戻る