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進化:デカプレニルホスホリル-β-D-アラビノースの生合成および利用の経路の遺伝子における相互作用変異を介した高レベルのエタンブトール耐性結核の進化

Nature Genetics 45, 10 doi: 10.1038/ng.2743

薬剤耐性の進化を研究するために、in vitroでエタンブトール耐性を獲得した結核菌(Mycobacterium tuberculosis)株を選択して、遺伝学的および生化学的な特性解析を行った。デカプレニルホスホリル-β-D-アラビノース(DPA)の生合成および利用の経路の遺伝子であるRv3806cRv3792embBembCに変異が蓄積して、変異の種類および数に依存的に、エタンブトールのさまざまな最小発育阻止濃度(MIC)を生み出している。Rv3806cの変異は、DPA合成を増加させ、野生型の遺伝的背景において、MICの2 µg/mlから4 µg/mlへの倍増、および、embBのコドン306変異のある遺伝的背景において、MICの16 µg/mlから32 µg/mlへの増加を引き起こした。Rv3792の同義変異は、下流のembC(エタンブトールの標的)の発現を増加させ、MICを8 µg/mlにした。高レベルの耐性には多段階の選択が必要であった。embCの変異、つまりembCの非常に高い発現が、最も高レベルの耐性の場合に観察された。臨床分離株では、Rv3806c変異は、高レベルの耐性に関連しており、また、embB変異との乗法的効果をMICに与えた。さまざまなMIC、すなわち境界値以下に低下した値から、高レベルの耐性を示す値までを生じる複雑な方法で相互作用する変異の獲得を介して、エタンブトール耐性が生じている。

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