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進化:ゲノム解析から明らかになった、薬剤耐性結核菌Mycobacterium tuberculosisにおける正の収斂性選択の標的

Nature Genetics 45, 10 doi: 10.1038/ng.2747

結核菌M. tuberculosisが進化して薬剤耐性を獲得することにより、結核の蔓延抑止を目的とする試みが脅威にさらされている。薬剤耐性を獲得する機序については、耐性分離株で見つかる自然選択で有利となる遺伝的変化を含めて、まだ完全には明らかになっていない。今回、塩基配列を新しく決定した116種類、およびすでに決定済みの7種類の結核菌の全ゲノム配列を解析し、47種類の薬剤耐性株に特異的な、正の自然選択に寄与する配列変化をゲノムワイドに同定した。収斂進化(変異がヌクレオチドの同じ位置もしくは同一遺伝子において別々に固定されること)を示す配列変化を探したところ、既知の耐性マーカーを100%検出することができた。さらに既知マーカーに加えて、39のゲノム領域において正の選択が起こった証拠を耐性単離株で見つけた。新たに同定されたこれらのゲノム領域は、細胞壁の生合成、転写調節、DNA修復を担う経路の構成因子をコードしていた。これらの領域に生じた変異は、変異そのものが耐性をもたらすことも、耐性に伴う適応コストを補っていることもあった。例えば、ponA1遺伝子の変異の機能解析により、この変異が、抗結核薬剤リファンピシン存在下における菌のin vitroの増殖を促進することが分かった。

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