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蛾の草食性:ヘテロ接合体の蛾のゲノムから草食性と解毒に関する知見が得られる

Nature Genetics 45, 2 doi: 10.1038/ng.2524

昆虫がどのように進化し、草食性として成功してきたかは生物学的かつ実用的な大問題である。草食性は大概のところ、進化的にも生化学的にも特定の宿主生物のグループに関連して適応した食性であるが、植物体の防御物質への適応の遺伝学的および分子生物学的な理解は今後の問題として残されている。ここでは、鱗翅類の基本種であるPlutella xylostellaの最初の全ゲノム塩基配列を報告する。このゲノムには18,071個のタンパク質をコードする遺伝子があり、植物の防御物質の検出と解毒に関連した遺伝子ファミリーへの拡張を伴った1,412個の独立の遺伝子があった。解毒に関する遺伝子の近くには、最近に起こったレトロトランスポゾンの増加と、植物の防御物質の代謝に使われる広範囲なシステムとが、殺虫剤耐性の発達にかかわっていることも明らかになった。この研究は、世界中に分布しているこのような草食性昆虫が、進化的に成功を収めた遺伝学的かつ分子生物学的な基盤となっていることを示し、植物を餌とする昆虫の適応と、より持続可能な殺虫剤の適用に関しての開発への広い知見を提供するものである。

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