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前立腺がん:並行臨床試験によって明らかになった、前立腺がんにおけるアンドロゲン遮断抵抗性の機序と治療法候補
Nature Genetics 45, 7 doi: 10.1038/ng.2650
本論文では、前立腺がん患者に対する去勢奏効性検証試験とともに、遺伝子操作により作出した前立腺がん疾患モデルマウスにおいて同等の試験を行い、両方のデータを用いて総括的な解析を行うことにより、去勢(療法)抵抗性についての新たな機序を明らかにしたので報告する。まず、Ptenを欠失させた前立腺がんモデルマウスを去勢したところ、アポトーシスおよび増殖阻止が誘導され、腫瘍の悪性化を防ぐことを示した。ところが、Ptenと同時にTrp53とZbtb7aのいずれかを欠失させたマウスでは、こういった奏効性が観察されることはなく、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)を発症した。続いて、疾患モデルマウスおよび患者から得られたデータを統合して機械論的な解析を行った結果、XAF1、XIAP、SRD5A1の発現パターンが、すぐに利用可能なCRPCの予知指標(マーカー)であることが判明した。さらに、XIAP、 SRD5A1、AR がかかわる経路を合わせて阻害すれば、去勢抵抗性が失われることが明らかになったのは注目すべきである。したがって、異生物種間で検証する並行臨床試験(co-clinical approach)を行うことで、患者の層別化と、画期的なテーラーメード型治療法の開発が容易になることが期待される。