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細胞周期:全がん遺伝解析からPARK2をG1/Sサイクリンの主要な調節因子として同定
Nature Genetics 46, 6 doi: 10.1038/ng.2981
異なる種類のサイクリンが協調的に制御されていることが細胞周期の調節や腫瘍形成の抑制に本質的に重要であるが、その基盤となる機序については完全に解明されているわけではない。今回の研究では、腫瘍抑制因子PARK2がこの協調をもたらしていることを明らかにする。PARK2はE3ユビキチンリガーゼであり、サイクリンDとサイクリンEの両方の安定性を協調的に制御している。およそ5,000のがんゲノムの解析を行ったところ、PARK2が、ヒトのがんにおいて非常に高頻度で欠失を示す遺伝子のうちの1つであることが分かった。さらに、PARK2の欠失とCCND1、CCNE1、CDK4の増幅との間には、著しい相互排他性がある(同時に決して起こらない)ことが明らかになった。このことは、これらの遺伝子がある共通した経路に含まれることを示唆している。ここでPARK2を不活性化したところ、サイクリンDが蓄積し、細胞周期の進行が加速された。しかもPARK2は、サイクリンDとEの両方を破壊標的とする新たなタイプの、cullin-RING型ユビキチンリガーゼ複合体の構成因子であることが判明した。従ってPARK2は、CDK阻害因子p16と同様にサイクリン‐CDK複合体の形成を調節するが、同時に、G1/Sサイクリンの安定性を調節する主要因子として機能していることが分かった。