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胃がん:全ゲノム配列決定および包括的分子プロファイリングから胃がんの新しいドライバー変異が同定される

Nature Genetics 46, 6 doi: 10.1038/ng.2983

胃がんは、異質性のある疾患で、さまざまな分子的および組織学的なサブタイプがある。今回我々は、統合ゲノム解析のために、腫瘍と正常組織の100組において、DNAコピー数、遺伝子発現、メチル化プロファイルに加えて、全ゲノム配列決定を行った。その結果、サブタイプ特異的な遺伝的およびエピジェネティックなかく乱(perturbations)と特有の変異シグネチャーを見いだした。そして、有意に変異が見られることがこれまでに知られているドライバー遺伝子(TP53ARID1ACDH1)、および新しいドライバー遺伝子(MUC6CTNNA2GLI3RNF43ほか)を同定した。特に、RHOA変異は、びまん性の胃がんの14.3%に見られたが、腸型には見られなかった(P<0.001)。これらのRHOA変異は、機能ドメインに影響を及ぼす頻発ホットスポットにクラスターを形成しており、異常なRHOAシグナル伝達を引き起こすことで、類器官培養においてはアノイキス回避を促進する。胃がんにおいて上位にランク付けされるかく乱された経路には、接着結合と接着斑の経路が含まれ、これらの経路にはRHOAや我々が同定した他の変異遺伝子が重要な機能を担う因子として関与している。本研究は、多面的かつ包括的なゲノムの全体像を示すものであり、胃がんの分子的な複雑性を明らかにするとともに、ゲノムがガイドになる個別化治療を進める際のロードマップになるものである。

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