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ワタ:ワタ栽培種Gossypium arboreumのゲノム配列
Nature Genetics 46, 6 doi: 10.1038/ng.2987
ワタゲノム(AADD、2n=52)は複雑な異質四倍体であり、それが遺伝子や、ゲノム、機能の分析を極めて困難なものにしている。今回我々は、Aサブゲノムに寄与したと考えられているGossypium arboreum(AA、2n=26)のゲノムについて、塩基配列決定と配列構築を行った。112.6倍のカバー率でゲノムを読んだ合計193.6 Gbの正確な配列が、ペアエンド法で得られた。さらに、構築した配列の90.4%は偽染色体13本の上に固定および方向付けされ、ゲノムの68.5%が反復DNA配列によって占められていることが分かった。G. arboreumにはタンパク質をコードする遺伝子が41,330個存在することが予測された。G. arboreumおよびGossypium raimondiiは、種分化に先行して、2回の全ゲノム重複を共有していた。両ゲノムの大きさに2倍の開きが存在するのは、過去500万年に生じた長い末端反復配列の挿入によるものである。比較トランスクリプトーム研究により、半身萎凋病菌Verticillium dahliaeに対する抵抗性でヌクレオチド結合部位(NBS)をコードする遺伝子ファミリーが果たす重要な役割、およびワタ繊維細胞の発生に対するエチレンの関与を明らかにすることができた。