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ブタ:ブタの全ゲノム塩基配列決定で同定された適応と古代に起きた可能性のある種間遺伝子移入
Nature Genetics 47, 3 doi: 10.1038/ng.3199
家畜のブタは、気候の寒暖といった局地的な飼育環境条件に対する遺伝的適応を遂げている。中国の15の異なる地域で飼育されている69匹のブタのゲノム塩基配列決定を行い、4100万個のバリアントを検出した。そのうち2100万個はdbSNPデータベースには含まれていなかった。ゲノムワイドな網羅解析の結果、中国国内の高緯度および低緯度の環境への地域適応に関与する可能性の高い、一連の座位(ゲノム領域)が明らかになった。興味深いことに、非常に大きな(14 Mb)低い組換え率のゲノム領域がX染色体上に見つかった。 この領域には、高緯度と低緯度のブタ集団において、それぞれがおそらく、寒冷と温暖な環境への適応を可能にしている2種類の異なるハプロタイプが存在するようである。意外にも、高緯度領域における適応のためにDNAに生じた除去は、絶滅イノシシ属Sus種から由来する遺伝子移入によるものである可能性が高かった。今回の結果は、ブタの進化の経緯と、遺伝子移入が適応に果たす役割について新たな手掛かりを与えるものである。