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擬態:Papilio属のアゲハチョウにおけるメス限定のベイツ型擬態の遺伝的メカニズム

Nature Genetics 47, 4 doi: 10.1038/ng.3241

ベイツ型擬態を行う動物は、不快な性質を持つモデルに自分を似せることにより、捕食されないようにしている。アゲハチョウの仲間のシロオビアゲハ(Papilio polytes)では、擬態型のメスのみが、毒蝶であるベニモンアゲハ(Pachliopta aristolochiae)に似ている。最近の報告で単一の遺伝子doublesexdsx)がこの擬態を制御していることが示されたが、その詳細な分子機構は明らかでなかった。今回、我々はシロオビアゲハと近縁種であるナミアゲハ(Papilio xuthus)の2つの全ゲノム配列を決定し、シロオビアゲハの擬態型(H型)と非擬態型(h型)の染色体間に見られる常染色体の逆位を一箇所同定した。この逆位はおよそ130kbで、この領域にはdsx遺伝子が含まれている。この逆位は擬態に関与する座位であるHと関連していることが、連鎖地図を作成することで明らかになった。ノックダウン実験により、逆向きのH対立遺伝子(dsxH))から発現したメス特異的なdsxアイソフォームが、擬態の色彩パターンを誘導し、同時に非擬態のパターンを抑制することが示された。一方、dsxh)は擬態パターンを変えることはない。我々はdsxH)が翅のパターンの配色を切り替えること、およびメスに限定された多型が染色体の逆位により厳密に維持されていることをここに提唱する。

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