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コヒーシン:CTCFとコヒーシンの結合部位はがんにおいて高頻度に変異している

Nature Genetics 47, 7 doi: 10.1038/ng.3335

コヒーシンは、ほぼ全ての活性型エンハンサー領域に存在し、転写因子と共存する。さらにコヒーシンは、多くの場合、ゲノムの安定性や発現、エピジェネティクスによる恒常性に影響を及ぼすCTCF(CCCTC結合性因子)と同じ位置に局在している。がんの場合に、コヒーシンのサブユニットに変異が生じていることは知られていたが、CTCFとコヒーシンの結合部位(CBS)のDNA変異については調べられていなかった。本論文では、がんにおいてCBSに高頻度で生じている変異が、主にAT塩基対に起こった変異であるという変異シグネチャー(変異スペクトラム)を示すことを報告する。大腸がん(CRC)の213の検体に対する全ゲノム配列解読データとクロマチン免疫沈降塩基配列解読(ChIP-exo)データを統合し、CBSに高頻度で生じている点変異を同定した。これに対して、DNAポリメラーゼε(POLE)の機能異常によって変異超誘発性となっているCRCにおいては、CBSおよびその近傍に生じる変異は有意に少なかった。公表されているデータの解析から、複数の種類のがんでCBS変異が蓄積されていることが明らかになった。CBSは、がんゲノムの非コード領域における主要な変異ホットスポットである。

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