Analysis
遺伝率:英国バイオバンクを用いて、ありふれた疾患の遺伝学や家族に共有される環境の影響を評価する
Nature Genetics 48, 9 doi: 10.1038/ng.3618
ゲノムワイド関連研究から疾患の感受性の原因となる多くの座位が検出されているが、疾患感受性に寄与する遺伝要因の大部分はいまだ未知である。本論文では、「失われた遺伝率」の一部が遺伝率の過大見積もりで説明できるという証拠を示す。英国バイオバンクの白人系統の1,555,906人における疾患の家族歴を用いて、12の複雑なヒト疾患の遺伝率を見積もった。家族を基盤とする単純な統計モデルを用いた遺伝率の見積もりは、家族に共有される環境要因を特異的に説明する構造方程式モデリング(SEM)による見積もりよりも、平均として約47%まで上昇した。さらに、SNPデータを用いて見積もられた遺伝率は、12の疾患の家族を基盤として単純に見積もられた遺伝率の平均44.2%と、SEMによって見積もられた遺伝率の平均57.3%を説明し、さらに高血圧の場合にはSEMによる遺伝率のほぼ全てを説明した。我々の結果は、遺伝学および家族環境の両方が疾患の家族集積性に大きく寄与することを示している。