Article

疾患予測ネットワーク:機能ゲノミクスに基づいたネットワーク予測モデルによる炎症性腸疾患の調節因子の同定

Nature Genetics 49, 10 doi: 10.1038/ng.3947

炎症性腸疾患(IBD)に関する大きな課題は、多様なデータセットを統合してIBDの予測モデルを構築することである。本論文では、IBDの免疫学的要素に関する予測モデルを示す。このモデルは、ゲノムワイド関連解析(GWAS)によりIBDとの関連が判明している座位間の因果関係について、IBDの細胞、組織、病態生理に関係する機能および制御のアノテーションを利用して予測するものである。このモデルは3つの独立したネットワークから構成されており、それぞれのネットワークは、病期の異なるIBD患者集団から採取した消化管検体の分子データに基づいて構築されている。主要ドライバーの解析を行って順位付けを行い、上位12の主要ドライバーについて実験で前向きに検証することにより、IBDに関連するネットワークの制御状態を調節すると予測される遺伝子を同定した。このような検証を経て同定された主要ドライバーのセットは、IBDに重要なプロセスの新規な調節因子であり、またこれらは、遺伝学的、分子的、臨床的形質を統合した回路を構成しているので、クエリーを直接入力することにより、IBDを規定する調節機構のモデルを改善していくことが可能となる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度