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クローン病:ゲノムワイド関連解析からクローン病の予後と疾患感受性に対する遺伝的関与が異なることが明らかになった

Nature Genetics 49, 2 doi: 10.1038/ng.3755

大抵の免疫関連疾患では、患者の幸福を決定する最も重要なことは、診断そのものではなく、疾患が時間とともにたどる経過(予後)である。予後は、十分には明らかになっていない要因によって、患者間で大幅に異なる可能性がある。家系分析から、予後には遺伝的関与があることは示されているが、予後と疾患感受性バリアントの影響との間の関連を裏付けるエビデンスはほとんど得られていない。どのようにして遺伝的な多様性が疾患の予後に影響を及ぼすかを明らかにするために、クローン病患者の2つのコホートを対象に、症例との関連解析を行った。その結果、予後とゲノムワイドに有意な関連を示す4つの座位を特定したが、いずれの座位も疾患感受性との関連は示さなかった。一方、170の疾患感受性座位全ての効果を集約しても、疾患の予後とは全く関連がなかった。全体として今回の研究成果は、クローン病における予後への遺伝的関与は疾患感受性への関与とはかなり無関係であることを示唆し、予後の生物学的機序が治療上の新たな標的となり得ることを示すものである。

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